本書は、「モチベーション3.0」の著者で、21世紀型の動機づけ論を提唱した、ダニエル・ピンクさんの最新作です。
著者であるダニエル・ピンクさんは、
「世の中のビジネス本は、How(どのように)に対しての本ばかりである」
「しかし、Howだけでは不十分であり、When(いつ)についての理解も重要だ」
と主張しています。
最近、新しいことをはじめたけど、うまくいっていない方、
新しいことをはじめようとしている方、
物事には、それを行う上で、ベストな 『タイミング』 というものがあります。
また、1日は誰にでも平等に、24時間です。
限りある時間を、最大限にうまく管理して活用すべきです。
本書では、時間生物学的にその 『タイミング』 を考察しています。
いつ、何をやればより効果的か、、、
本書の方法を実践することによって、科学的に効率のよい時間の使い方や、効果的な時間の使い方ができるようになります。
パフォーマンスには『When(いつ)』が大きく影響する
1日を過ごす中で、人間のパフォーマンスは、
ピーク → 谷 → 回復
というような、潮の満ち引きと同じような周期が存在します。
ポジティブで楽天的な気分は、午前中に高くなり、午後に落ち込み、夕方には再度高くなるという研究結果があります。
また、1日のうちで早い時間のほうが、物事に対してより注意深く、分析能力は、午前中の遅い時間から正午ごろにピークに達します。
例として、投資家やアナリスト向けの収支報告は、朝一番の開催では、かなりポジティブで楽観的であり、そこから徐々にネガティブになっていきます。そして、昼ごろにそれが少し回復して上向きになり、午後になると、ネガティブ感が強くなっていきます。
また、デンマークの学生200万人を対象に行なった4年分のテストの結果からも、午前中にテストを受けた生徒のほうが、午後にテストを受けた生徒よりも点数が良かったという研究結果もでています。
このように、同じ仕事や作業でも、『いつ』やるかによってパフォーマンスに差がでることが証明されています。
人間は3つのクロノタイプに分類できる
クロノタイプとは、、、
人間は、昼行性で、通常は昼に活動的で夜に休息を取る動物です。
しかし、そのタイミングは一人ひとり少しずつ異なります。
この一人ひとりがもつ時間的なタイミングの傾向がクロノタイプです。
このクロノタイプは、時間生物学者の論考をもとにして、3種類に分類することができます。
・ヒバリ型(14%): 朝型
・フクロウ型(21%): 夜型
・第3の鳥型(65%): 朝と夜のミックス型
クロノタイプの簡単な判定方法
自分のクロノタイプがどこに属するのかを簡単に判定する方法があります。
次の3つの質問に答えるだけで、自分のクロノタイプを確認できます。
通常、何時に眠るか?
通常、何時に起きるか?
その中間の時間は何時になるか?
例)午後11時に寝て、午前7時に起きる → 中間は午前3時
ヒバリ型 0時 〜 3時
フクロウ型 5時半 〜 12時
第3の鳥型 3時 〜 5時半
このように、寝た時間と起きた時間から中間の時間を求めます。
その中間の時間が、0時 〜 3時 であれば、ヒバリ型
その中間の時間が、5時半 〜 12時 であれば、フクロウ型
その中間の時間が、3時 〜 5時半 であれば、第3の鳥型
と簡単に分類することができます。
ちなみに私は、午後11時に寝て、午前6時に起床するので、その中間は、午前2時です。
私は、ヒバリ型に属します。
幼稚園の時、「ヒバリ組」ってありましたよね!?(笑)
クロノタイプごとに適正時間が異なる
上のやり方で、ご自身のクロノタイプを判定できたと思います。
クロノタイプごとに、適した作業の時間帯が異なります。
下の表は、それを一覧にしたものです。
もちろん、すべての作業や仕事が、分析と洞察とに分けられるわけではありませんが、うまく活用することによって、より効果的な時間の使い方ができるようになります。
運動に適したタイミングは?
先程は、感情や認知面でのタイミングについての話題でした。
本書では、目的ごとに有効なタイミングを紹介しています。
午前中の運動
減量・・・朝の運動は、食後の運動よりも20%多く脂肪が燃焼する
気分の向上・・・午前中の運動は、気分を高め、その効果を1日享受できる
日課を守る・・・午前中に運動をすると、それを日課にしやすくなる
体を鍛える・・・テストステロンという筋肉を作るホルモンは、午前中にピークに達する
夕方前か夕方の運動
怪我の予防・・・午後は体が温まっている状況なので、怪我をしにくい
最高の力を発揮できる・・・午前中よりも力が出るし、反応時間が早くなる
ワークアウトを楽しめる・・・ワークアウト時の心と体に掛かる負担が少し軽減される
『中間』というタイミングのマネージメントが大切
人生の時間でも、日々の時間でも、『中間』という時間への配慮が大切だと著者は主張しています。
人生という時間で見ると、いわゆる『中年』とされる30代後半から50歳くらいになると、幸福度がどんどん下がっていきます。
日々の時間でも、仕事の時間でも、最初の方はやる気が高く、頑張りが効きます。
また、終盤では、「締切効果」が効き、集中力がアップします。
しかし、『中盤』では、集中力も切れ、作業効率はかなり落ちることがわかっています。
この、『中間』をうまくコントロールする事ができれば、目標は達成しやすくなります。
そのためには、中間地点において、状況を確認し、自分がどの位置にいるのかを把握することが大切です。
予定よりも遅れているのか?
どの程度遅れているのか?
巻き返しは可能か?
『中間』というタイミングに、しっかりと状況を把握し、終盤に向けて軌道修正することがとても大切です。
【まとめ】When 完璧なタイミングを科学する
本書、『When 完璧なタイミングを科学する』のまとめです。
・クロノタイプを把握する
・クロノタイプの特性に注意して行動する
・フクロウ型に早起きをさせてもムダ
・生活に休憩をうまく取り入れる
・『中間』のマネージメントをしっかり行う
人間も生物の仲間です。
生物は、『時間』というものに大きく影響を受けます。
著者が主張するように、「何をやるか」と同様に「いつやるか」ということの大切さを本書から学びました。
今回ざっくりと紹介した以外にも、本書では、『タイミング』ということに関して、非常に多くの科学的有効な情報が紹介されています。
やることはやってるのに、なんだかうまく行っていない方、、、
ぜひぜひ、おすすめの一冊です。
時間は最も希少価値の高い資源である。
時間を管理できない者は、
他のなにものも管理できない。
ピーター・ドラッカー
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